こんにちは、大人メイク専門家の由比ちえです。
先日とある実業家のKさんから話しを聞く機会がありました。
Kさんのお話のなかで『人が成長するフェーズ』がとても印象的でしたので記録に残したいと思います。
コラムにするにあたり、人が成長するフェーズをメイクのアドバイスを仕事にしている人、メイクのアドバイスを仕事にしたい人に落としこみながら綴りたいと思います。
<4つの段階>
わかる・できる・使いこなす・極める
今回のコラムを読むと、あなたのメイク知識・技術のレベルがいまどこのフェーズにいるのか、あなたが次に取り組むべきことは何なのかが分かります。
メイクやコスメで人を輝かせたい!
笑顔にしたい!
メイクのアドバイスを仕事にするためには、確かなスキルが必要です。
ぜひ、ご自分に落とし込みながら読んでみてくださいね。
鬼滅の刃に学ぶ『人の成長段階』
実業家のKさんは、人が成長するフェーズ(段階)を、鬼滅の刃の漫画の中に書かれている一節を例に説明しました。
できることと、使いこなすこと
極めることはそれぞれ違う
鬼滅の刃の漫画をコンプリート、全巻持っている我が家。
息子に話しました。
「Kさんのお勉強会でね、できることと、使いこなすこと〜という話しが出たんだよ。鬼滅の刃の漫画のどこかに載ってるみたいなんだよね。」
すると…びっくり!
息子はおもむろに本棚に向かい、ずらりと並ぶ漫画の中からスッと1冊を取り出しました。
鬼滅の刃の漫画、22巻をパラパラとめくりながら私のところへ。
「それココに書いてあるよ!」
えーっっっっ!?
なんで!?
なんでわかるの?
息子の記憶力にびっくりたまげたのでした。
鬼滅の刃は、主役の炭治郎が家を留守にしているときに、家族を鬼に殺されるというショッキングな出来事から始まります。
炭治郎は師匠のもとで剣と技を学び、いくつもの壁にぶつかりながら乗り越え成長していくのですが、その成長していく様子を段階的に感じることができます。
成長するフェーズの全体像
鬼滅の刃の22巻から抜粋します。
できることと、使いこなすこと、極めることはそれぞれ違います。
繰り返し練習して決まった動作が”できる”ようになったら、それをどんな体勢や状況でも適材適所で出せるようになるのが“使いこなす”ことです。
さらにその使いこなしている技を、他の誰よりも速く強く、常に最大限の力で出せるよう練り上げることが“極める”ことです。
できる→使いこなす→極める
いかがでしょうか?
成長するフェーズを分解して考えたことがなかった私は、スッキリしました。
言語化すると分かりやすいですよね!
5つの壁
メイクアップに落とし込んで考えてみましょう。
メイクアップの場合、『できる』の前に『知っている→わかる』の二つが加わります。
知っている→わかる→できる→使いこなす→極める
いま、あなたのメイクアップ知識や理解度、技術のレベルはどこのフェーズでしょうか?
成長してお客さまに選ばれ喜んでもらうために、次に取り組むべきことは何でしょうか?
今のあなたの現在地を客観視してみましょう。
メイクのアドバイスを仕事にする人が、成長していくための5ステップ
❶「知っている」
❷「わかる」
❸「できる」
❹「つかいこなす」
❺「極める」
ステップというのは、成長する段階(フェーズ)や成熟度を指します。
❶知っている★☆☆☆☆
メイクやコスメの知識を知っているフェーズ
このフェーズにいる人の中でも、知っていることの量や質に差がでます。
なぜなら情報を収集する力は人それぞれ、収集した情報の中から正しい情報を取捨選択する力も人それぞれだからです。
メイクやコスメに興味関心があり、みずから進んで情報を取りに行く人は知っていることの領域が広い傾向があります。
このフェーズにいる人は、知っているだけで『わかっているつもり』になりがちなので注意。
逆に、真っ直ぐな性格の人や責任感の強い人は、知っていることが多くなればなるほど、自分の知識に偏りがないか気になったり、発信する人によって言っていることが違うことに気がつけたり、どちらが正しい情報なのか分からなくなり戸惑います。
判断ができない理由として、メイクの知識技術を断片的に学んでいるケースが多いように感じています。
体系的に学んでいないので、判断する基準となる軸が自分のなかに無いため、いつまでたっても自信がもてない。
世の中に溢れている情報を自分で整理することができずにモヤモヤしているというかたがほとんどです。
思い当たるかたは、「まだ勉強が足りない…」と断片的な知識をインプットすることに固執せず、次の『わかる』フェーズに進みましょう。
❷わかる★★☆☆☆
メイクという一つのジャンルでも、仕事内容によって求められていることは違います。
例えば、ビューティ誌の撮影のメイクとファッション誌のメイク、ブライダルのメイクと日常のメイクはそれぞれ全く別物です。
メイクのセンスとテクニック、メイクのやり方を人に教えるスキルもまた別物です。
メイク経験者の中には、色んなことを知っているし、感覚的にできるけれど、人に聞かれると説明に困るというかた案外多いのです。
(教えるスキルの磨きかたについて、また改めて綴りたいと思います。)
メイクアップは一つ一つの動作がすべて仕上がりに直結します。
「なぜなら〜だからです」と言語化して説明できない場合、あなたは感覚的にメイクをしている状態です。
もしあなたが、メーキャップアーティストでセンスや感性を求められる立場であったり、メイクの技術を提供することを仕事としているのであれば、『結果が全て』なので、プロセスや具体的なやり方を言語化できなくても全く問題ありません。
ですが、メイクのやり方を人に教えるインストラクターや、メイクのアドバイスを仕事にしている(仕事にしたい)のであれば、酷な話しをしますが、今のままでは「人に教えるスキル」は残念なレベル。
いくらメイクが上手くても、お客さまの質問に答えることができなかったり、お客さまが自分で再現できるよう具体的に教えることができなければ、よい先生とは言えません。
お客さまから見たあなたは、説得力に欠ける状態といえます。
では、メイクのアドバイスを仕事にしている人がスキルアップしたい場合、『知っている』フェーズから『わかる』フェーズに成長するためにはどうしたら良いでしょうか?
答えはズバリ!
体系的に学ぶ
これにつきます。
メイクの知識を体系的に学ぶことで、点在している情報の点と点が繋がり線になり、使える知恵へと進化するのです。
背景や理由を知ることで、あなたの中の疑問「なぜ」の答えが分かります。
すっきりと腹落ちして理解が深まることでしょう。
線となった情報は、使える知恵となり、説得力があります。
❸できる★★★☆☆
皆さんも頭ではわかってはいるけど、上手くできない…という事はありませんか?
わかる→できるの間には、これまた高く分厚い壁が存在します。
頭でイメージできていても、初めてすることは体の動きが伴わないのは当然のこと。
特にメイクは顔という狭い範囲で行います。
眉メイクやアイメイクとなると、さらに範囲は狭くなります。
例えばビューラーを使用してまつ毛を上げるとき。
まぶたのカーブから、ちょっとズレてしまうと、まぶたを挟んでしまいイターっっっ!!!(涙)となります。
普段の生活の中で、ミリ単位の細かい調整をする機会ってなかなか無いですよね。
工程ごとのポイントをしっかりとイメージして、そのポイントを意識してメイクをすると、これまで出来なかったことが出来るようになります。
意識しながら繰り返し練習したり、上手くできないところを微調整することで、安定して再現出来るようになるのです。
突然ですが
わたしは料理が苦手です。
料理が苦手ですがキュウリの輪切りだけは、めちゃくちゃ早くて、薄く均一に切ることができます。
はじめから出来たのか?
そうではありません。
高校生時代、家政科だったわたしは、調理実習の授業がたくさんありました。
調理実習の授業が始まってすぐ、きゅうりの輪切りをする試験があったのです。
<キュウリ試験合格の基準>
1分で100枚以上で合格、輪切りは1枚1ミリ以下と決まっていました。
包丁の正しい持ちかた、キュウリを支える添え手、包丁の動かしかたをそれぞれ、なぜそのようにするのかを体系的に教わりました。
包丁で切るときに支える『添え手』、猫の手のように指を折りたたむ理由をご存知ですか?
①安全に切れる
「指を切らないように、安全のために猫の手をしましょう。」と聞いたことがあると思います。
次のこちらはご存知でしょうか。
②幅を調整する
キュウリを1cmで切るか、1mmで切るか、幅を調整するのは支える手(猫の手)です。
指をほんの少し動かすだけで微調整できるので、より正確に切ることができます。
他にも猫の手をする理由や背景を教わったのですが…
20年以上経っているので、忘れてしまいました(笑)
ですが、今でもこうやって思い出せるのは、きちんと体系的に教えてくれた先生のおかげ。
体系的に学ぶことで、一生使える知識と技術になるってすごい!ですよね。
試験合格を目指して
キュウリの輪切り試験に向けて、わたしは家でたくさん練習しました。
タイマーで測り、キュウリの輪切りをしていくのですが…
一つ一つの工程のポイントを意識しながらキュウリを切ると、まぁ時間が掛かる。
しかも最初の頃は、ぜんぜん薄く切れなくてボロボロでした。
父からのフィードバック
家で練習をしていると、父から指導が入ります。
「猫の手を大きくずらしすぎ、そんなんでは薄く切れん、分厚くなるぞ」
仰る通り…わたしが切るキュウリは分厚くて2ミリ超え。
父からフィードバックされたことを意識して再チャレンジ。
成功体験
猫の手を僅かにずらしながら切ってみる。時間は掛かるけれど、キュウリの薄さは1ミリ以下!
キュウリを支える猫の手が成功の鍵でした。
猫の手をわずかにずらす、ミリ単位の動きに慣れてくると、切るスピードがどんどん早くなっていきました。
毎日のように家でキュウリの輪切り練習をするので、当時の我が家の夕食には「キュウリとタコの酢の物」や「キュウリとワカメの酢の物」がよく並び、そのうち酢の物に飽きたのか、キュウリだけで食べていました。
☑︎体系的に学ぶ
☑︎工程ごとのポイントを意識して実践する
☑︎うまく出来ないところを振りかえる
☑︎次にいかして練習を繰り返す
このように行動した結果、キュウリの輪切り1分100枚以上を安定的にできるようになり、試験に無事合格することができたのでした。
そんなこんなで、料理が苦手な私ですが、キュウリの輪切りだけは自信があります。
キュウリの輪切りに例えましたが、メイクも同じです。
わかる→できるのフェーズを乗り越えるときに経験した、失敗と成功体験は宝です。
メイクのアドバイスに自信がないかたは、この『できる』フェーズでは、正しいメイクのやり方と背景までを理解して、自分自身にできるようになりましょう。
出来なかったことが出来るようになる時、必ず理由があります。
アイラインのペン先のあてる角度、動かしかた、力加減など。
出来ない状態から出来たときに、成功した理由が分かると次にまた再現することができます。
そのため由比は、教えるときにあいまいな表現はしません。
そして、フィードバックをするときは、分かりやすいように具体的かつ丁寧に解説することを大切にしています。
人にメイクのアドバイスするお仕事、『わかる』とセットで頑張りたい『できる』フェーズ。
いかがでしたでしょうか?
ちょっと長くなってしまったので、続きはまたいつか♡
最後まで読んでくださりありがとうございました。
ヒントになれば嬉しいです。
あとがき
調理実習の授業がありながら、料理上手にならなかった理由。
調理実習では4人1班になって調理します。そのため1人で全部の工程をやる機会は少なく、また当時のわたしは作ることに興味がわかず授業に消極的でした。
授業に向かう姿勢(マインド)が整っていなかった!
学ぶときの姿勢って大事だなと大人になった今だから思うこと。
教える立場になって初めて気づくこと。
人に教える道を選んでからのほうが、何倍も勉強しているな。。。
肌も顔も変わる、流行も変われば、製品も移り変わる、一生勉強です。
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